「おはよ、棗」

いつもの朝。
時間通りに教室にはいって。
ナルが来て、朝のホームルームが始まるのを待つ。
棗が時間通りに来るのは普通ではないかもしれない。
だからと言っておかしいことでもない。

「久しぶりってとこかな?」

「…」

最近…まぁ、外の仕事が立て込んでいたんだろう。
棗が学校にこないのはだいたいそんなときだから。
私は、同じ危険能力でも中の仕事しかないからその実体はよくわからないけれど。

「今日、時間割変更あるって知ってた?」

「…知らねぇ」

「じゃあ、教科書見せてあげるよ」

チャイムがなったというのにナルはなかなか姿を見せない。
私はふと思い出した時間割変更の話題を出してみる。
すると、やはりというかなんというか、知らないとの答え。

「…あ、ナルだ」

「…」

そうしているうちに、少し遅れてナルが副担先生を伴って入って来た。

「はーい、ホームルームを始めるよ。みんな席についてねv」

…ナル独特の、語尾に『v』がつく喋り方。
どうも、棗はそんな軽いところとあのアリスが気に食わない様子。
でも…今日ナルの授業あるんだよね…件の時間割変更で、初っ端に…。






「ひぃ…どっと疲れたわ」

「…」

案の定、っていうか…ナルの授業は。
語尾にはハート飛びまくりだし。
引っ張り出してくる教材は愛がテーマのものばっかだし。
これは…棗でなくても疲れるよね…。
そんなことよりも実は気になるのは棗がいつもより疲れた顔してることだけど。

(口数少ないのはいつものことだけど…)

心なしか…いつもと雰囲気が違うのよね。
何て言ったらいいんだろう…影を背負ってる感じ。
そりゃ、明るい棗なんて想像も出来ないんだけど。

(…ちょっと心配だな…)

棗が何かしら影を背負ってるのはいつものこと…かもしれない。
けれど、自惚れかもしれないけど…流架と同じくらい棗に近しい存在として。
すごく、すごく…心配になっちゃうんだ。
だって…棗は何を考えてるのかわからないところがあるから。






「やっほ〜…ってどないしたん?ちゃん」

「蜜柑ちゃん…」

「『元気ない』って顔してるで?」

「不細工な顔して…らしくないわね…さん」

「ははっ!それは酷いわ、蛍」

昼の休み時間になって、尚も呆けていると蜜柑ちゃんと蛍ちゃんが声をかけてきた。
棗はいつの間にやらどこかへ行ってしまっている。

「そんな顔せえへんで一緒にお昼食べにいかへん?」

「いいけど…」

「棗くんも食堂のほうに行くの私、見たわよ」

「え…」

「な…棗も行ったんか!?嫌やなぁ…」

「馬鹿言わないで。私、お腹すいたわ…さっさと行きましょう」

「嫌やぁ…」

「さっさとしなさい」

蛍ちゃんは蜜柑ちゃんをバカン砲で思いきり撃って引きずって歩き始めた。
蛍ちゃん…すごいよな。
有無を言わせず蜜柑ちゃんを…。
それにしても、蜜柑ちゃんと蛍ちゃんって仲が良いよな。
何でも言い合える仲って感じで…。

「はぁ…私もお昼食べに行こうかな」

結局のところ置いていかれる形になった私はそれでも追い掛ける形で食堂へ。
やっぱりお腹がすいていたっていうのもあるし、棗にもあえるかな…なんて。






(…あ、棗だ)

食堂に行ってみれば棗の姿は簡単に見つけることができた。
そこには棗だけで、意外なことに流架の姿はなかった。
まぁ…流架は親友ではあるけど、べったりではないしね。

(一人で食べてるけど…行っても平気かなぁ…?)

朝から気になるところもあるから、話を聞きたいっていうのもあるんだよね…。
…行ったところで、私なんかに素直に話してくれるかなんてわかんないけどさ。

(よし…行ってみよう!)

私は昼食の乗ったトレイを手に棗の座る席の隣にそれを置いた。

「棗、隣いい?」

「…別に…」

「じゃあ、遠慮なく」

私はトレイを置いた席に座る。
それからはなんだか話に詰まってしまって、しばし黙々と昼食をとり続ける。

「えーっと…さ」

それでも気になることは気になるから、話を切り出すきっかけは欲しい。
でも、待っていてもきっかけなんてやってくるはずもない。

「なんか…今日の棗…棗、ちょっと変だよ…?」

「…」

「どうかしたの?もしかしたら任務かなにかで…?」

「別に…」

やっぱり…ね。
なんでだろうね…ちゃんと言ってはくれないんだから…。

「ねぇ、棗…」

「…」

「私、さ…棗と席が隣だったり、一緒にいることも多いでしょ?」

「…」

「だから…今日、いつもとなんとなく違うってところまではわかる…」

そう。
わかるんだよ。
だって…。
違うから。
どこがって?

…全て…が。

近くありたいと、願えば願うほどに。
繋がっていたいと思えば、何かが流れてくるみたいで。
…なのに…。

「やっぱり、違う人間だし…全てははわからなくって」

「…」

「…言葉にしてくれなきゃわからない…わからないんだよ、棗…」

やば…。
近くありたいって。
願うのに。
こういうとき距離を感じて。
言葉にしてよ。
私に少しくらい共有させて…その思い。

「」

「棗…」

「…俺は大丈夫だ」

「っ、でも…」

「言葉にできることなら、してやるから」

「え?」

「できることだけな」




**あとがき**
17771hitを踏まれた如月ユウさまに捧げます。

…ぶっちゃけ不完全燃焼です…

お題が難しかったていうのもありますが。
もう少し納得いくのが書きたかった!
いつかまた踏むようなことがあればリベンジさせてください!

…とまぁ、こんなものですがよければ受け取ってください。




―――――

そーいえば持って帰ってないなぁ、と気づいてみた。うん。
だから持って帰ろうと。そんだけ。
・・・ありがとうございました無茶な注文を叶えてくださり。
それと5万ヒットのも無茶言ってごめんなさい。
後悔はしてません☆

如月 ユウ