地理 学年末範囲
第W章 現代社会の諸問題
第一節 世界の宗教と民族問題
1,世界の宗教
キリスト教
カトリック
・ローマ法王(教皇:現在はベネディクト16世)が最高指導者
・儀式を重視
・ヨーロッパ南部、中南米に分布
プロテスタント
・16世紀にカトリックから分派
・聖書を重視
・ヨーロッパ北部、北米、オーストラリア
正教会
・東ローマ帝国の流れを受け継ぐ
・マリア信仰が強い
・イコン崇拝
・ロシア、ギリシャなど
イスラム教
・預言者ムハンマドが創始
・一神教(アラー)
・経典はコーラン(クルアーン)
主な戒律
・偶像崇拝禁止
・六信五行 五行…信仰告白
礼拝 ―1日に5回、メッカの方向に礼拝
断食 ―イスラム暦9月(ラマダン)の日中に断食
喜捨
巡礼 ―一生に一度はメッカに巡礼する
・豚食禁止、飲酒禁止
イスラム教の宗派
スンナ派(スンニ派)
・イスラム教徒の9割
・中央アジア〜西アジア(イラン除く)〜北アフリカ、マレーシア、インドネシア
シーア派
・イスラム教徒の1割
・イラン、イラクの一部
仏教
大乗仏教
・自己の解脱とともに衆生を救うことを念願
・菩薩信仰が強い
・中国、韓国、日本、ベトナム(中国の影響下の国)
上座仏教
・自ら悟りを得ることを目的とする
・釈迦信仰が強い
・タイ、ミャンマー、スリランカなど
チベット仏教
・輪廻転生思想が強い
・最高指導者ダライ・ラマ14世
・中国のチベット自治区、内モンゴル自治区、モンゴル
民族宗教
ヒンドゥー教
・インド、ネパールで信仰されている
・牛肉を食べない(乳製品は食べる)
・カースト制という身分制度がある
ユダヤ教
・ユダヤ人が信仰している
・一神教(ヤハウェ)
・選民思想を持つ
2,世界の民族問題
民族問題の原因…言語、宗教、植民地支配の影響
パレスチナ問題
概要
パレスチナやエルサレムの帰属をめぐる、
ユダヤ人とパレスチナ人(=アラブ人)の戦い
発端と推移
紀元前6cにユダヤ人国家滅亡
19世紀に祖国復帰運動(シオニズム運動)が起きる
1915 イギリスがアラブ人に建国を認める
1917 イギリスがユダヤ人に建国を認める(パルフォア宣言)
1948 イスラエル建国(ユダヤ人国家)
→第一次中東戦争(イスラエル勝利)
1973 第四次中東戦争(日本はオイルショック)
1995 ヨルダン川西岸地区、ガザ地区においてパレスチナ暫定自治政府発足
旧ユーゴスラビア問題
ユーゴスラビアは、スロベニア、クロアチア、セルビア(主導権を握る)、
モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニアからなる社会主義国家
ボスニア内戦
対立構造
クロアチア系(カトリック)+ムスリム系(イスラム教)対セルビア系(東方正教)
1991 ソ連崩壊
→スロベニア、クロアチア、マケドニア…独立
ボスニア・ヘルツェゴビナ
…独立派のクロアチア人やムスリムと残留派のセルビア人で内戦に
1992〜1995間に死者20万人、難民200万人
現在、クロアチア系+ムスリム、セルビア系は国の中で住み分けている
コソヴォ独立問題
コソヴォ自治州はセルビア南部のアルバニア系住民が多く居住する地区
→2008年2月独立か?
旧植民地の民族問題
列強諸国の支配方法
…分割統治(同一民族を分割する)
民族による差別を行う(少数派による多数派の支配)
スーダン
スーダン内戦
北部:アラブ人、イスラム教(政府中枢を独占)
南部:黒人、キリスト教など
1955〜72年、1983〜2005年 内戦
ダルフール紛争
・スーダン西部のダルフール地方で継続している紛争
・アラブ人(政府系)と非アラブ人(非政府系)(双方ともイスラム教)の対立
スリランカ
北部:タミル人、ヒンドゥー教 ←少数
南部:シンハラ人、仏教 ←多数、政府側
2002年に停戦したが、2008年1月政府側が停戦放棄
世界各地の独立運動
バスク人
・スペイン、フランス国境付近に住む少数民族
・バスク語という固有の言語を持つ
・スペインやフランスから独立運動をしている
クルド人
・イラク、イラン、トルコにまたがる山岳地域に住む少数民族
・クルド語という固有の言語を持つ
・イラクではクルド人自治区が発足したが、
トルコからの独立闘争の拠点となっているとして越境攻撃されそうになる
チェチェン人
・カフカス山脈北部のロシア内チェチェン共和国に住む民族
・チェチェン語を話し、イスラム教を信仰
・ロシアからの独立を目指しているが、ロシアが強硬に阻止している
チベット族
・チベット自治区に住む(自治区の中でも)少数民族
・1959年武力反乱が発生し、ダライ・ラマ14世はインドに亡命
第二節 人口
1,世界の人口
65億人(2006年2月) 8000万人/年増加
うち、アジアが60%
国別人口 1位中国 13億、2位インド 11億、3位アメリカ 3億、10位日本
2,人口移動
華僑、華人
・中国系移民 現地の国籍を持っている場合は華人という場合が多い
経済や政治にも影響力が強い場合が多く、
マレーシアではマレー人を優遇するブミプトラ政策が
ヨーロッパへの移民
フランス
・戦後、旧植民地であるアルジェリアやモロッコ
(公用語フランス語、宗教はイスラム教)から大量に移住
・移民2世、3世は国籍がフランスにもかかわらず宗教や外見で差別
ドイツ
・1960年代にトルコなどからの労働力(ガストアルバイター)を受け入れる
・1990年代になると東西ドイツの統一や景気の停滞により排斥対象に
3,世界の人口問題
自然増減=出生数−死亡数
(社会増減=流入数−流出数)
先進国の人口問題――少子高齢化
日本の現状
合計特殊出生率 1.25(2005)
65歳以上の高齢者割合 20%超
少子高齢化の要因
医療の進歩
高学歴化、女性の社会進出による晩婚化、非婚化
意識の変化
問題点
医療制度や年金制度の破綻
労働力不足→国際競争力の低下
対策案(スウェーデンの例)
職住近接、保育施設の整備、休暇制度の充実、休暇時の所得保障
発展途上国の人口問題
人口増加→ 貧困 :食糧不足
人口増加→環境破壊:過耕作
貧困 →環境破壊:過放牧
貧困 →人口増加:低就学率、早婚多産、子供が労働力
環境破壊→ 貧困 :住居を追われる
・環境破壊…砂漠化、熱帯雨林の破壊
一人っ子政策
・1979年から実施されている中国の政策
・漢民族(全人口の92%)のみ適用
・二人目以降は罰則規定を設ける
・近年では農村部や両親が一人っ子の場合二人目も認める
問題点
・将来的に急激な少子高齢化が起きる
・闇っ子(黒孫子:戸籍のない子供)の存在
・男女化の不均等
・惶帝と呼ばれる我侭な子供
第三節 村落と都市
1,日本の村落の発達
条里制集落
奈良時代に作られた集落
集落単位は小さく、神社や寺が見られる
荘園集落
中世の荘園制の名残が見られる集落
―荘(庄)などの地名が残る
新田集落
近世に開拓された集落
従来使用されなかった台地上など
屯田兵村
明治時代に北海道開拓のため作られた集落
アメリカのタウンシップ制をもとにしている
2,村落の形態
集村
塊村…自然発生的な集落
列村…自然堤防上や扇端部といった自然条件によって
細長くなった集落
路村…道沿いに家が並び、背後に短冊状の畑が並ぶ
「道ができてから家が建つ」
街村…街道沿いの村 いわゆる宿場町
円村…中央部に広場や教会がある円形の集落
散村…一軒一軒が離れてる村 日本では砺波平野(富山県)が有名
3,都市の立地条件
交通の要衝…水上交通の要地が特に発達しやすい
平野、盆地の中心
鉱山資源の産出地 ※枯渇とともに衰退する場合も
4,大都市の発達
メトロポリス…大きな都市圏を持つ大都市
郊外に衛星都市が見られる
コナベーション…都市域が拡大し、近隣の都市とつながること
東京―横浜が典型的
メガロポリス…メトロポリスが一定間隔で連続していること
アメリカ北東部が典型的
5,先進国の都市問題
ドーナツ化現象
・地価の高騰や住環境の悪化によって、
都心部の人口が減り、郊外の人口が増える現象
・都心部では昼夜間人口比率が極めて高くなる
スプロール現象
・郊外が人口増加し、無秩序な都市域の拡大が起きること
・都市計画がないため、災害時に危険
インナーシティ問題
・都心の建物の老朽化、住環境の悪化により
高所得者が郊外に移住し、低所得者が都心に残される問題
都心部がスラム化し、所得のドーナツ化現象が起こる
・アメリカでは民族の住み分けとなってしまう
再開発
ロンドンの例
第二次世界大戦後、郊外に職住近接のニュータウンを建設
→高所得者が郊外に移住し、インナーシティ問題が起きる
→ロンドン市内の再開発 特に港湾地区のドックランズは有名
東京
・1980年ごろから建物の老朽化や土地利用によって再開発が進む
・江東区では、地価の下落や貯木場が不要になったため、
高層マンションが多く建てられ、人口が増加している
6,発展途上国の都市問題
プライメイト・シティ(首位都市)
・人口や政治経済的機能がほかの都市と比べて突出している都市
・第二次大戦後に独立した国に多い
スラム街の形成
・農村から都市に流入した貧困層が
都市周縁部にスラム街(不良住宅)を形成
・インフラ整備や教育施設がない
・スラム街にすら住めない、路上生活をする子供を
ストリートチルドレンと呼ぶ
環境問題
・対策が遅れているため、先進国よりも著しい
・特にメキシコシティの大気汚染は有名
第四節 交通、通信
1,交通の種類
交通―交通―陸上…(徒歩、動物、)鉄道、自動車
水上…船
航空…飛行機
―通信
航空交通
特徴 長所 :時間が短縮できる
短所 :大量輸送に不向き、(ランニング)コストが高い
主な対象:中、長距離の旅客、軽く高価な電子機器類、魚介類等
ハブ空港
・地域の中心となる空港
・近隣の中小の空港はハブ空港までの路線を確保し、
乗り換え地点として利用
・アジアではインチョン(仁川)空港やホンコン空港など
陸上交通
鉄道
特徴 長所 :(内陸部で)大量輸送が可能
短所 :決まった区間しか運べない、敷設費が高い
主な対象:(内陸の)穀物や鉱山資源、(都市内部では)旅客
大陸横断鉄道
アメリカ横断鉄道
シベリア鉄道、バム鉄道(ロシア)
青蔵鉄道
青海省とチベット(西蔵)自治区を結ぶ鉄道
西部大開発
世界の高速鉄道
新幹線
TGV(フランス)
ICE(ドイツ)
台湾高速鉄路(台湾)
自動車
モータリゼーションにより普及
特徴 長所 :出発地から目的地まで直接輸送できる
短所 :大量輸送に不向き、環境負荷が大きい
主な対象:日用品、食品
水上交通
特徴 長所 :大量輸送が可能、コストが安い
短所 :時間がかかる
主な対象:エネルギー資源、鉱産資源、機械類、肉類(冷凍)
各種専用船
タンカー …石油運搬専用船、戦争に石油を貯蔵
LNG船 …LNG(液化天然ガス)用の船
バルク・キャリア…石炭、鉄鉱石用の船
コンテナ船 …直方体の箱(コンテナ)を輸送する船
港での荷揚げで交通手段が変わるときに便利
冷凍船 …19世紀後半に発明された
「新大陸」での肉牛生産が増加
便宜置籍船
・税金の安い国に先進国の商社が船籍を置いた船
・パナマ、リベリアが便宜置籍船を多く持つ国の代表
世界の主な運河
スエズ運河 …1869年開通、地中海と紅海を結ぶ
パナマ運河 …1914年開通、太平洋と大西洋を結ぶ開門式運河
マイン・ドナウ運河…マイン川(ライン川の支流)とドナウ川を結ぶ運河