現代文 学年末範囲(こころ)
上 「先生と私」
語り手である私(学生)から先生(主人公)が客観的に語られる
→不思議な人
中 「両親と私」
私の親族の生活と先生のそれとの比較
下 「先生と遺書」
主人公の告白=主人公が主観的に自分を語る
=経験、性格、生活
三角関係は道具→近代に生きる悩み
●主人公から若い私へのメッセージ
上 伏線―私の先生に対する観察
6 人間を愛しうる人、愛さずにはいられない人〜
手を広げて抱きしめることの出来ない人―これが先生であった
「私はあなたに話すことの出来ないある理由があって〜」
8 「天罰だからさ」
11「どうしても私は世間に向かって働きかける資格のない男〜」
14「〜自由と独立と己とに満ちた現代〜」
1. Kが自殺するまでの推移
1月3日前後 カルタ取り ―私、K、奥さん、お嬢さん
1月5日前後 奥さんとお嬢さんは親類宅へ
Kはお嬢さんへの思いを私に告白する
夜にKに話しかけるがKは生返事しか返さない
1月中旬 大学が始まる 私は路上でKに出会う
1月下旬〜2月 図書館でKに声を掛けられ上野まで行く
私はKに恋を断念させようとする
その晩Kに呼び起こされる
(1週間後) 私はKを出し抜いてお嬢さんとの結婚の許諾を得る
(2、3日後) 奥さんからKに私とお嬢さんとの婚約の話が伝わる
(2、3日後) 私は奥さんがKに婚約の話をしたことを知る
その晩Kは自殺する
2. 私とKの性格
Kの性格
Kの態度のどこにも得意らしい様子は〜 →鈍感
友達はいない ―不要 →独立心は強い
こういう遊戯をやりつけない →不器用
⇒独立心は強いが偏屈
他人の態度にも鈍感で、自分の考えを表に出さない
私の性格
陽気な遊びをする心持ちになれない
(お嬢さんのKに対する態度)
相手次第では喧嘩
⇒やや短気で周囲の人の態度や表情にこだわる←叔父の裏切り
3. この問題
=私とお嬢さんとの結婚問題(奥さんもついてくる)
Kが邪魔者、嫉妬の対象⇔Kなら大丈夫という安心
4. 私のKに対する思い
Kは不意に襖を開けて ⇔平生の静かさ
平生からなにをしてもKには及ばないという自覚
=Kに対する畏怖心
Kを下宿に引き取る行為が劣等感を一時忘れさせているが、
嫉妬の対象として復活する
5. Kの告白について
@私の反応 ―驚き
先を越されたな
苦しくってたまらない
相手は自分より強いという恐怖の念
Aなぜこれほど驚くのか
Kの性格
平生の主張(精進)から恋愛とは無縁
潜在的にライバル視
自分がまごまごしているのと対照的→先を越される
BKの弱点 ―初めての恋に戸惑いを感じている
a,恋を成就させるべきか
b,恋に進むべきか引くべきか
c,恋を諦めるには
6. Kの告白に対する私の受け止め方
逆襲、手抜かり、向こうから突進、不意打ち
=戦闘状態→午前に失ったものを取り返そう
失ったもの=私とお嬢さんとのバランス
●お嬢さんへの愛よりもKに対する嫉妬に動かされる
7. 私の不安
Kは永久に静かなのです=日常 →Kの存在を忘れる
⇔私の心=非日常→かき乱される
=待ち伏せをする不安と焦燥
→Kを魔物のように見せている←畏怖心
8. 私からの働きかけ
K =そうだなあ →私=はっと思わせられた
=Kが私の助言を必要とせず一人で解決するのではないかと思った
9. 立場の逆転(1)
Kの生返事→不安←逆襲の機会がない
→観察=変化なし=Kの自白は私に限られたもの
→自然の機会を待つ(落ち着き)←Kの言葉
⇔Kの本心を知りえない ―不安
単なる自白か、実際的の効果を収める気か
→K自身にも決心がつかない←異例
10. 立場の逆転(2)
図書館でKのほうから接触=逆襲のチャンス
公平な批評を求める
←自分の弱い人間であるのが実際恥ずかしい
自分で自分が分からなくなってしまった
=恋のために自分を見失いそのために公平な批評を求める
→進むべき道を示してほしい
(退こうと思えば退けるのか?)→苦しい
→私=Kを退かせるチャンス
11. 私の逆襲(1)
Kは自分より強い ―畏怖
⇔理想と現実の間に彷徨してふらふらしている
理想=学問(第一信条=道のためには全てを犠牲に)
現実=恋愛の淵に陥った
←「精神的に向上心のないものはばかだ。」(彼と同じ口調=侮蔑的)
=Kの自己矛盾を突き、侮蔑が「公平な」批評と思い込ませる
→ @恋を諦めさせる(私の利益)
=AKが積み上げてきた過去を今までどおり積み重ねさせようとした
(Kの利益)←利益を貪ることへの正当化
「精神的に向上心のないものは、ばかだ。」=「ばか」を強調
=今のお前は「ばか」だ=恋愛⇔第一信条
「ぼくはばかだ。」→居直り強盗
=どうせばかだから第一信条なんか捨てて恋に走ってやる
←Kに対する畏怖心が抜けない
12. 私の逆襲(2)
@私の反省
卑怯←お嬢さんへの思い ⇔教育相当の良心
←第三者からの指摘、Kからの指摘=正直、単純
Aとどめの一撃
K「もうその話はやめよう」→「やめてくれ」
私「君の心でそれをやめるだけの覚悟がなければ
=恋愛を諦める=平生の主張
K「覚悟ならないこともない」(―死ぬ?)
13. 勝利の自覚
K 投げ出すことの出来ない尊い過去⇔熾烈な感情
→過去が指し示す道を歩かなければならない(強情と我慢)
=私はよく彼の心を見抜いていたつもり
→世間話=優越感、打撃を確認する
14. Kの夜中の行動(襖を開ける)
a,私の世間話に迷惑そうだったKが、襖を開けて無意味に私を呼ぶはずがない
b,あの事件について話すつもりはないと断言(翌日)
c,声は普段より落ち着いている
d,襖を開けるのは二回目(一回目は私を必要としていた)
e,熟睡できるのかと訊く(翌日)
f,Kが自殺した日と開き方が同じ
→「覚悟」の解釈が揺れだす
←そういう点にかけて鋭い自尊心を持った男
=一度いったことはやり通す=覚悟ならないこともない
=@お嬢さんを諦める→Aお嬢さんに対して進んでいく
←Kに対する不安、嫉妬に動かされる
15. 最後の決断
Kの果断に富んだ性格→一般
⇔この事件についてのみ優柔=戸惑い→例外 ⇔例外ではない?
→Kより先にKが知らない間に奥さんからお嬢さんとの結婚の承諾を得る決断
←決断のきっかけ 「覚悟」の解釈
16. 決行、結果
仮病←一週間待ったが好機なし
→告白→奥さん=驚いた様子もない→「どうぞもらってください」
→あまりにわけもなく進行した〜
(⇔Kに打ち勝つための苦悩、Kを出し抜くための緊張)
→すべてを新たにした(満足感)
→Kに対する良心の復活=Kが私の病気を心配
→罪悪感⇔謝罪できない←世間体
17. 私の葛藤
倫理的弱点=自分の行為が倫理に反していると自覚→苦
⇔Kに謝罪できない→苦
→婚約が倫理的に問題ない形で成立したかのようにつくろいたい
まじめな私=まじめに見られたい=小心なまじめさ←世間体
Kの最後の打撃=裏切りと失恋
←最も落ち着いた驚き=驚きの大きさ
18. Kの自殺の原因
@原因=薄志弱行(遺書)
=意志に反して恋をしてしまい学問の道に進めなくなったこと
=規範の崩壊→死
お嬢さんの名前がない=わざと回避
A〜早く死ぬべきだのに=自己矛盾を突かれた時=規範の崩壊を意識したとき
失恋と裏切りがきっかけでKは死んだ
B抽象的なのは?
規範の崩壊という苦しさを伝えられない
私の批評がKを孤独にした
19. Kの死を知ったときの私の心理
a,棒立ちに立ちすくむ(呆然)
b,もう取り返しがつかない(責任の重さ)
c,私を忘れることができない(エゴイズム)
d,遺書に私を責める言葉がないのを確認(助かった)
e,手紙をわざと皆の目に付くように机の上に置く
(自分がKの死に無関係であることを主張)
→親友の自殺をあくまで自分の責任を感じながら
世間体を気にして取り繕おうとしている
=倫理観⇔世間体(エゴイズム)
取り返しのつかない〜全生涯を〜照らしました
私は倫理的な規範を守る←叔父の裏切り
→裏切り→自我の崩壊を自覚→相談相手がいない、居直れない
20. 私の死
規範の崩壊
心が強ければ全てを晒して謝罪できるが、
心が弱いと世間体を気にして裏切ることしか出来ない
きっかけ
乃木大将の死 ―西南戦争の失敗=軍人としての規範の崩壊
私 ―明治の精神=自由、個の時代=内在的規範を持って生きる
→大正=私(学生)の時代=社会の安定
→明治の精神に殉死