倫理 一学期中間範囲
人間とは何か
人間とは
ホモ・サピエンス(英知人)
・・・ものを考える、表現する
ホモ・ファーベル(工作人)
・・・道具を作る 「二重の生産」
ホモ・ルーデンス(遊戯人)
・・・芸術、宗教、化学など多くの文化を持つ
生理的早産をする
第一章 青年期の課題と自己形成
1,「私」とは何か
青年期とは
青年期とは、子供から大人への移行期間のこと。
時代とともに拡大してきた。
青年期の位置づけ
「マージナルマン(境界人)」 ― レヴィン
もはや子供ではないが、大人になりきれていない
「心理社会的モラトリアム」の状態 ― エリクソン
モラトリアム・・・猶予の意。
色々な責任、義務が猶予されている
成功→社会的自立(結婚など)、経済的自立(就職など)
失敗→モラトリアム人間、ピーターパン・シンドローム、
スチューデント・アパシーなど
青年期の特徴
「第二の誕生」 ― ルソー『エミール』
身体的発達
青年期スパート(第二伸長期)、第二次性徴
精神的発達
第二反抗期(心理的離乳)
→自我の発見
自分を独自の主体的な存在として発見する 参考 ジュハリの窓
※フロイトの精神分析学
無意識の研究
エス(イド)・・・人格の無意識的、本能的部分(リビドー)
自我(エゴ)・・・外界に対する適応能力 エスと超自我を統合
超自我(スーパーエゴ)・・・禁止、抑制、罪悪感を生じさせる機能
2,青年期の意義と課題
エリクソンのライフサイクル論
青年期の課題
=アイデンティティ(自我同一性)の確立
・・・個性化・社会化により達成される
失敗 アイデンティティの拡散、役割拡散
欲求と防衛機制
マズローの欲求階層説
低次の欲求が満たされると次の欲求が表れる。
自己実現の欲求が最高位。
葛藤(コンフリクト)
接近―接近型 チョコも飴も食べたい
接近―回避型 お菓子を食べたいけど太りたくない
回避―回避型 宿題は嫌だが怒られるのも嫌だ
二重の接近―回避型 二つの学校に受かり、それぞれに長所と短所がある
防衛機制
欲求不満や葛藤に直面したとき、
自分の心が損なわれることを無意識的に防ぎ守ろうとする働き
抑圧、合理化、昇華、同一視、投影(投射)、反動形成、
引きこもり・逃避、退行、補償(代償)、置き換えなどがある。
第二章 人生における哲学
1,神話から哲学へ
ポリスと市民
ギリシア人は、ポリス(都市国家)を基盤に生活
理想像は、「美にして善なるもの」
全てのことを神話によって説明(多神教)
例 ホメロス『オデュセイア』
哲学への道
自由な論議の中で哲学が生まれていく
閑暇(スコレー)の存在
観想(テオリア)
「知る」ことを目的に「考える」
愛知(フィロソフィア)
知への愛
自然哲学(自然の法則性)からスタート
→人生の法則性へ
2,自然哲学とソフィスト
自然哲学の成立
天地創造を神話ではなく原理・原則で捉える
→理性(ロゴス)に基づく自然万物の根源(アルケー)の探求
タレス:水
ヘラクレイトス:火 「万物は流転する」
エンペドクレス:土、水、火、空気
ピタゴラス:数
デモクリトス:原子
ソフィスト(知者)の登場
人間や社会のあり方を説く
例 プロタゴラス「人間は万物の尺度である」=相対主義
人を説得していくこと自体が目的となっていく
→詭弁家となってしまう
3,ソクラテス
無知の知
デルフォイの信託をきっかけに
真・善・美について知っている人が誰もいないことに気づく
ソフィスト・・・知らないのに知っているかのよう
ソクラテス・・・知らないことを知っている=「無知の知」
問答法(助産術)
エイロネイア(皮肉)による問答
問答を繰り返すことで無知の知を自覚させ、
魂に眠っている心理を呼び起こそうとした
真の知とは何か
人間の徳(アレテー)とは魂(プシュケー)が優れたものであること
→「魂への配慮」「ただ生きるのではなく、善く生きよ」
知徳合一、知行合一、福徳一致
→知、徳、福の一致
※ソクラテスの死
最後まで「善く生きること」を実践
自分の死を持って人々の「無知」を証明した
4,プラトン
ソクラテスの弟子
アカデメイアを設立して後進を育成
イデアとエロース
真の知とはイデアを知ること
イデアはイデア界に存在する永遠不変の実在。理想。
「善のイデア」が「イデアのイデア」
理性によって知ることが出来る。
=イデア界を想起(アナムネーシス)している。
魂はイデアに憧れる自己愛(エロース)を抱いている
四元徳と理想国家 『国家』
個人の魂では理性、気概、欲望が、
国家の階級では統治者、軍人、生産者が、
それぞれ知恵、勇気、節制。
全てのバランスが整うと正義となる。
5,アリストテレス
プラトンの弟子
プラトンの考えをより現実主義的に展開
形相と質料
プラトンのイデア論を批判
現実の個物は形相(エイドス)と質料(ヒュレー)からなるとした
形相・・・ものの本質、イデア
質料・・・ものの素材、材料
最高善
人生の最高善すなわち幸福は理性にしたがって生きること
→観想的生活を送ることが幸せ
徳と中庸 『ニコマコス倫理学』
正しく生きるためには徳を知るだけでなく習慣付ける必要がある。
知性的徳
真理を認識する知恵や思慮
倫理的徳
知性的徳にしたがって行為を繰り返すことでえられる習性的徳
勇気、節制など
中庸の原理に基づいている
正義と友愛
ポリスの結合原理として正義と友愛(フィリア)を重視
友愛 ― 情意面
市民間で相互に相手を愛するもの
完全な友愛は善なる愛で、そこから正義が実現される
正義 ― 理性面
全体的正義:ポリスの法に従う
部分的正義
配分的正義:業績や能力に応じて財貨や名誉が配分される
調整的正義:法を平等に適用する
政治体制の類型
王政 →専制政治 政治を動かす人が一人
貴族政→寡頭政治 政治を動かす人が複数
共和制→衆愚政治 政治を動かす人が全員
6,ヘレニズムの思想
ポリスの崩壊
巨大帝国の出現
→個人の内面を重視した思想
ストア学派 ― ゼノン
禁欲主義
情念(パトス)にとらわれない
自由な境地(アパテイア)こそ幸福、最高善である
→理性(ロゴス)によって情念を抑制
「自然と調和して生きる」
世界市民主義(コスモポリタニズム)
理性を持つ人間は全て世界市民として平等である
エピクロス学派 ― エピクロス
快楽主義
快楽が最高善である
→瞬間的、肉体的なものではなく、
永続的、精神的なもの
不快や苦痛から開放された心の平静な状態(アタラクシア)
→「隠れて生きよ」