生物 一学期中間範囲
0,顕微鏡使用について
@基本事項
分解能(解像力)
…二点を二点として見分けることの出来る限界の距離。
これ以下の大きさのものはその輪郭が判別できない
肉眼 :0.1mm
光学顕微鏡:0.2μm
電子顕微鏡:0.2nm
cf. 人の座骨神経 1m〜
ゾウリムシ 200μm
ヒトの卵 140μm
ミドリムシ 80μm
酵母 10μm
ヒトの赤血球 7.5μm
葉緑体 5μm
大腸菌 3μm
総合倍率=接眼レンズ倍率×対物レンズ倍率
ただし同じ総合倍率でも対物レンズの倍率が高いほうが分解能は高い
A手順と操作
・一方の手でアームを握り、他方の手で鏡台を支えて運ぶ
・直射日光の当たらない水平な台に置く
・接眼→対物の順にレンズを取り付ける
・レボルバーを回し低倍率の対物レンズをセット、接眼レンズを覗きながら
視野全体が明るく見えるように絞りと反射鏡を調節する
・プレパラートを観察する部分がステージの穴の中心にくるように置きクリップで止める
・横から見ながら対物レンズとプレパラートをぎりぎりまで近づける
・接眼レンズを覗きながら対物レンズとプレパラートを遠ざけてピントを合わせる
・観察しやすい像を探し、視野の中央に移動させる
像を動かしたい方向とは逆の方向にプレパラートを動かす
・レボルバーを回転させ高倍率の対物レンズに変える
ピントなどを調節する
倍率を上げると…
視野は暗くなる
ピントの合う上下の距離(焦点深度)は浅くなり、立体感が不足する
Bプレパラートの作り方
・スライドガラスに資料を載せる
・水または染色液を1,2滴落とす
・気泡が入らないようにカバーガラスをかける
・余分な水、染色液をろ紙で吸い取る
染色液と染まる細胞、器官
器官
染色液
核
酢酸カーミン
酢酸オルセイン
メチレンブルー
(メチルグリーン、ピロニン染色)
赤
赤
青
青緑、赤紫
ミトコンドリア
ヤヌスグリーン
青緑
中心体・紡錐体
鉄ヘマトキシリン
黒
細胞壁
サフラニン
(フロログリシン)
赤
(赤紅色)
※酢酸カーミン、酢酸オルセインは、細胞を殺してしまう固定液なので
生きた細胞の観察には適さない
※メチルグリーンが染色体を青緑に、ピロニンが核小体を赤紫に染め分ける
※フロログリシンはフロログルシンともいう
Cスケッチ
必要なものだけを大きくはっきり描く
点と線のみで描き、曖昧な線や塗りつぶしは使わない
部分の名称や長さ、気づいたことを引き出し線を用いて書き込む
Dミクロメーターの使い方
1)セッティング
・接眼ミクロメーター
接眼レンズの上部にあるレンズを回して外し、
目盛りのついた面を下にして接眼ミクロメーターを入れてレンズを戻し、
数字が正しく読めるかを確認する
・対物ミクロメーター
プレパラートと同様
2)見え方、計算法
見え方
接眼ミクロメーターの1目盛り分の長さは変化する
対物ミクロメーターの1目盛り分の長さは常に10μm
計算法
・まずピントを合わせ、両ミクロメーターの目盛りを平行にする
・両方の目盛りが重なっているところを二箇所見つける
・見え方 より、接眼ミクロメーター1目盛りの長さを割り出す
→10μm×対物ミクロメーターの目盛り数÷接眼ミクロメーターの目盛り数
cf.総合倍率をx倍すると接眼レンズの1目盛りの長さは 1/x 倍になる
1,細胞[cell]
@細胞の発見と細胞説
ロバート=フック(英、1665) 細胞の発見
レーウェンフック(蘭、1670年代)原生動物、細菌、精子の発見
ブラウン (英、1831) 核の発見
シュライデン (独、1838) 植物体の細胞説
シュワン (独、1839) 動物体の細胞説
フィルヒョー (独、1858) 細胞は細胞から生じると提唱
※細胞説…全ての生物は細胞から成る
細胞は生物の構造と機能の基本単位
※人の体は約200種類の60兆個ほどの細胞から成る
A細胞の構造と細胞小器官
細胞小器官:原型質内にある、特定の構造と機能を持つ構造体
細胞―原形質―核 ―核膜・染色体・核小体・核液
L細胞質―膜状構造 ―細胞体 ミトコンドリア
l 小胞体 ゴルジ体 リソソーム
l 液胞 色素体
L粒状構造 ―リボソーム 中心体 細胞含有物
L繊維状構造―細胞骨格
L液状構造 ―細胞質基質
核[nucleus] 直径 10〜30μm
普通細胞に一個存在 例外…脱核細胞 ex.ヒトの赤血球
多核細胞 ex.ヒトの骨格筋
遺伝子の本体であるDNA(デオキシリボ核酸)を含み
細胞全体の働きを調節 実験→アメーバ、カサノリ
核膜 :2重の膜で核膜孔が多数
核小体:1核に1〜数個 タンパク質とRNA(リボ核酸)からなる
染色体:塩基性色素(酢酸カーミン、酢酸オルセインetc.)で赤に染色
DNAとタンパク質(ヒストン(プロタミンの場合も))
からなるヌクレオソーム構造
分裂時は凝縮して太く短い棒状になる
核液 :核小体などを包む核内のゾル状液、分裂時ゲル化して紡錐体になる
メチルグリーン・ピロニン染色で染色体(DNA)は青緑色、
核小体(RNA)は赤紫色に染め分けられる
細胞膜[cell membrane] 厚さ 4μm
リン脂質の2重層(リン脂質が疎水部と親水部を持つため)
タンパク質がモザイク状に埋め込まれ流動性を持って分布する
「流動モザイクモデル」
上の構造を持つ膜を生体膜と呼ぶ
役割:細胞の内外のしきり、物質の出入りの調節、刺激の受容、情報の伝達
ミトコンドリア[mitochondrion] 通常 0.5〜2μm
粒状、棒状 ヤヌスグリーンで青緑色に染色
内膜、外膜の二重の膜に包まれる
内膜は内側にひだ状、管状に突き出す構造(クリステ)を持ち
その内部をマトリックスと呼ぶ
好気呼吸の場で、エネルギー(ATP)を生産
(ATP:アデノシン三リン酸
ADP(アデノシン二リン酸)になる時にエネルギーが出る)
独自のDNAを持ち、分裂・増殖する
リボソーム[ribosome] 直径 15〜30nm
雪だるま形(小サブユニット+大サブユニット)の粒状
リボソームRNA(小に1、大に3)とタンパク質から成る
タンパク質合成の場
細胞質基質中に散在、小胞体に付着
小胞体[endoplasnic reticulum]
網目状に広がる扁平な膜構造(袋状) 大小様々、細管・袋・小胞状など色々
粗面小胞体(リボソームが付着):タンパク質の輸送通路、加工も
滑面小胞体(リボソームなし) :分泌機能が特にない細胞に存在
ゴルジ体
扁平な円盤状の袋が重なる構造の小胞
若い細胞では核近くにあり、老細胞では散在している
物質(酸素、ホルモン等)の分泌(細胞外へ)、タンパク質の修飾
リソソーム[lysosome] 直径 0.1〜0.4nm
各種の加水分解酵素を含む小胞
細胞内消化・細胞外から取り込まれた物質の消化
中心体 中心粒直径0.15μm、長さ0.3〜0.7μm
棒状の二個の直交する中心粒からなる←双心子という
動物と下等植物(藻類、コケ、シダ)に見られる
細胞分裂時に二分して星状体(ゲル状の糸)となり紡錘糸の起点となる
べん毛、繊毛の形成に関与
色素体(プラスチド)
葉緑体 直径4〜6μm、厚さ2〜3μm
内外二重の膜に包まれる
・扁平な袋、チラコイド(クロロフィルなどの光合成色素が入っている)
・チラコイドが重なる、グラナ
・残りの空間、ストロマ から成る
光合成の場 独自のDNAを持ち分裂、増殖する
有色体
カロテノイド色素を含む(ex.ニンジン、トマト)
(広義にはクロロフィル以外の色素)
花弁や果実を黄〜橙色にする
白色体
色素を持たないが、光を屈曲するので染色しなくても見える
葉緑体や有色体に変わるものもある
アミノプラスト
デンプンを貯蔵、合成する
細胞壁
セルロース(グルコースが結合した鎖状高分子化合物)と
ペクチン(多糖類)からなる
丈夫な層状構造
サフラニンで赤色に染色
全透性を示し、細胞の保護・形態の維持、(ペクチンが)細胞間の接着
成熟に従い、
木化 :細胞間にリグニンが沈着し、厚く強固になる
クチクラ化:表皮細胞がクチン・ロウを分泌して強固になる・蒸散の防止
コルク化 :細胞壁にスベリンが沈着し、水や空気を通しにくくする
細胞壁を酵素(セルラーゼとペクチナーゼ)でしょりすると
裸の細胞(プロトプラスト)が得られる
液胞
液胞膜で包まれ、細胞液で満たされる
糖、有機酸、無機塩類、アントシアン
(花青素 花や果実を赤や紫にする色素の総称)などを含む
浸透圧の調節に関係
細胞含有物
貯蔵物質…デンプン粒、脂肪粒、卵黄、グリコーゲン
老廃物 …油滴、アルカロイド、結晶体
細胞質基質
細胞小器官の間を埋めている透明な液体
各種の酵素を含む ex.嫌気呼吸の場、化学反応の場
細胞骨格を含み、細胞の運動に関与
細 ミクロフィラメント…アクチンが重合した繊維
中間径フィラメント
太 微小管
植物体でのみ見られるもの 色素体、細胞壁
植物体では発達しない、一部のみ見られる 中心体、ゴルジ体
動物体では発達しないもの 液胞
一重の膜で覆われている 細胞膜、小胞体、ゴルジ体、液胞、リソソーム
二重の膜で覆われている ミトコンドリア、色素体、核膜
光学顕微鏡では見えない 小胞体、リボソーム、リソソーム、
ミトコンドリア、葉緑体の内部
B細胞の運動
アメーバ運動:細胞が変形する移動運動
原形質流動 :細胞の外側は変形せず原形質が流れるように動く現象
ex.オオカナダモ
C原核生物と真核生物
原核生物…原核細胞から成る単細胞生物
ex.細菌類、ラン藻類(ネンジュモ、ユレモ)
原核細胞 核膜に包まれた核はなく、DNAは裸
細胞膜、細胞壁、リボソームはあるが、他はなし
D細胞の研究法
1)顕微鏡
分解能 (肉眼→0.2mm)
光学顕微鏡 0.2μm
電子顕微鏡 0.2nm
2)細胞分画法
細胞破砕液(ホモジェネート)を遠心分離機(器)にかけ、
遠心力を段階的に高めて作用させ、
細胞構造体を大きさと密度の違いにより分離する方法
ex. 植物ホモジェネート
核・細胞壁の欠片→葉緑体→ミトコンドリア
→リボソーム、小胞体片(ミクロソーム)
最後まで残ったのが可溶性画分
操作は加水分解酵素による分解を防ぐため低温で行う
浸透圧の等しい等張液で行う
pHの変化を防ぐため緩衝液で行う
3)その他
密度勾配遠心法、ラジオグラフィー法、細胞培養
E細胞を構成する物質
基本 C,H,O,N,Mg,Ca,K,S,P,Fe
他 Na,Cl etc.
1)水(H,O) 70〜90%
物質の溶媒 比熱が大きい
2)タンパク質(C,H,O,N,S) 10%
20種のアミノ酸がペプチド結合したポリペプチド
原形質の酵素の主成分
ペプチド結合:アミノ酸のカルボキシル基と別のアミノ酸のアミノ基が
脱水縮合(⇔加水分解)したもの
長いポリペプチドの両端はカルボキシル基側をC末端、
アミノ基側をN末端と呼ぶ
タンパク質の構造
1,一次構造 アミノ酸の種類と配列順序
ポリペプチド鎖